髭を剃りました~お母さんから「髪がヘルメットみたい」と言われた~

インフルに罹っていた間は顔を洗うことすら大儀だったので禄に鏡に目を向けなかった。ただ食器棚や液晶面に反射して見える俺のシルエットは髪が爆発しているせいもあり普段に比べても頭がギネス級にデカかった。

 そしてタイトルにある通りお母さんに「頭でかすぎ。髪型もヘルメットみたいでダサいよ。切りに行ったら」と言われてしまった。

今、鏡を前にして俺は自嘲の笑みを口角に浮かべていた。

無精髭は過去最高に伸び、脂の浮き出た肌と相まって不潔感を最大に演出している。牛の乳首のごとく無数に吹き出たニキビと、酒飲みのロシア人のデブのような赤らんだ頬。そしてボサボサの髪型はバリカタ直毛という呪われた遺伝子によってイケメンの言う「俺寝起き髪ボサボサなんだよね」とは一線を画するものである。例えるならば具志堅用高をイメージして貰うとわかりやすかもしれない。俺もとあるシリーズに出てくる一方通行のような髪質が欲しかった。

 

取り敢えずシャワーを浴びて寝癖を直した後、チン毛で石鹸を泡立ててから眉と髭の手入れをした。髭はともかく、俺が眉を整えるようになったのは驚くことに高校3年生になってからである。それまでは床屋さんで剃ってもらったら放置だったから、三日後くらいにはゲジ眉と化していた。

中学の頃とか、よく覚えていないが酷かったんだろう。思い出したくもない。

 

シャワーを終えてから身体を拭き、鏡に視線を向ける。あの野暮ったい髪も濡れるとまあ悪くない。手を使って少しでもボリュームを抑えるようにして乾かせばまだ闘えるだろうと思った。ただちょっといやかなり梳いてもらったほうが良いかな。

俺は部活をやっていた頃は髪を伸ばすなんてしたくてもできなかったし、高校生になってからは「いや短いほうが楽じゃん」とか意味不明なプライドで髪を丸坊主にしていた。マジで野球部並みの坊主だった。女子からの印象は「なんだこいつ意味不明」か「実家が寺なのかな?」みたいな感じだったのだろう、話したこと無いから知らないけど。もしかしたら比較的俺と話してくれた例のS子ちゃんも俺が寺の跡継ぎか何かだと思って興味を持ってくれたのかもしれない。そいつとんでもないエロ坊主ですよ。

 

まあ今もインキャ感MAXの髪でキーボードを打っている。そして明日、唯一無二の友達と遊ぶ約束がある。

久方ぶりの外出だな・・・

病み上がりということもあり一抹の不安は残るが、体調は良好だし思い切り遊べるだろう。何時から集合にしようか。・・・